IN THE DUSK感想

youtu.be

 音楽のライブといえば、個人的にはまずあの耳をつん裂くような、けたたましい音の鳴る(故に苦手な)ライブハウスをイメージするが、一度だけ喫茶店のライブに行ったことがある。ジャズといえば喫茶店、という、一種ありきたりな想像をなぞるような体験ではあったが、ウッドベースの音色をその身に響かせている、やや物々しい石膏の壁を、ミラーボールの反射した色とりどりの円い光がつたってゆく光景を妙に覚えている。

 日が暮れても明るい都会の夜景をあえてピンボケの状態で撮ると、水玉様の暖かい光が真っ暗な中に浮かび上がる。『イン・ザ・ダスク』のサムネイルがまさにそれで、これを界隈の用語で「玉ボケ(!)」と呼ぶらしいが、本編でもあらゆるところで「玉ボケ」を想起させるエフェクトが使われている。

 しかし個人的には、あのミラーボールの反射光が連想された。kudoさんには隣でスマホの画面を見せてくれたfukrouさん*1だが、僕をかの喫茶店のジャズライブに連れて行ってくれもしたのだ(?)。

 

 

出演者の感想(敬称略)

 

おれ

成功率を上げるために手癖技で組んだため、割と簡素な構成。現状、そこそこの完成度で撮るためにはここまで難易度を下げないといけない、ということを自覚した、ようやくスタートラインに立てたという感じのFSである。

ただ手癖に頼りすぎたため、ところどころ見栄えの悪い技が入っている。自分の中では一番好きなFSだが惜しい。

ツイッターでも言ったが、実はこれ、手持ち撮影である。しっかり手ブレ補正されてあり、しかも完璧すぎるので申し訳ないが面白かった。

 

Nanafushi

発想や技術はよいが、全体的に小綺麗にまとめられ過ぎているという印象を受ける。ただ歴はまだ浅いから、どんどん経験を積んでほしい。

 

kudo

この人のシャドウが上手い。〆の前にしれっと入るジャパモの瞬間風速にやられてしまった。個人的にはもっとトリッキーなことをしてもよいと思う。

 

Padrace

全体的に腕で回し気味なのと、手の主張がやや大きいため惜しい。〆にかけてのクライマックスはとてもよいだけにとても惜しいFS

 

マワシズキ

指を折りたたむ技と開く技をバランスよく使い、234をおもっきし開いたダイナミックな技を入れて〆へとゆく構成は素晴らしいが、肝心な234を開いたときの指の形がホラー。照明の当たり方といい、色合いといい、ややホラーな動画。

 

kiwi

粘性のある技運び。ゴム製のサンバを回している可能性がある。回しが楽曲のパートにうまくマッチしており、非常に魅力的。

 

Airi

円軌道の見せ方や崩し方など相変わらず上手い。さりげないエフェクトも相まって〆がキマっている。45軸の技がもう少し欲しいと感じた。

 

このkiwi→Airiのパートが個人的には一番好きな場面だ。

 

Nk

ペンの端を持つパート、中心で回すパートの配分がうまく、またそれぞれで緩急もしっかりついている。マジで上手い。特に「急」のパートの回転量が凄まじい。

余談だがこの人、実は僕と同じペンスピLINEグループの出身らしい。知らなかったの俺だけ?

 

TUv4

WC18の頃と比べ、ペンの見せ方が見違えるほど上手くなっている。このスタイルで見栄えの良い回しを維持しつつ、さらに浮遊感まであるので、個性が強い。

 

AiMo

技のレパートリーが数年前とは比べ物にならないほど多く、また環境も良いので安定して上手い。中盤の23フェイソニ→FLリバの指の形がよい。音合わせもしっかりハマっている。

 

eban

あまりにも均整のとれすぎな手つきは言わずもがな、中盤の13チャージなど、技の精巧さも健在。コマ落ちのためなのか、ペンの残像が惜しいと思った。

 

mir

えええ!! となった。共演できて嬉しい。流暢な技運びのなかに気持ちよくスリップトソニックとラダーが入る、mirさんらしいFS

 

iroziro

シャドウの流れを23-12デビルズソニックFLリバでぶった切り、ソニひねをちょっとばかしいれて23でぶん回す、という怒涛の前半と、ラストの12sp⇒そのまま〆ると思いきや、23で派手に一回転入れてから〆、という裏切り技にこの人の底の知れなさがある。上手い。

 

 

 色白さんの〆を呼水に、うっすらと僕、ななふし、クドウ、tuv4kiwimirが三連符に合わせ代わる代わる〆をキメて、本編が終わる。なんとなくガンダムZZのクライマックスを思い出す演出であった。

 

 CVに実写映像を使う発想JapEn 15thでもあったが、よりスピナーの心情にフォーカスしていたJapEn15thに対し、『IN THE DUSK』は風景そのものに焦点を当てている。*2

 初編集ながら、ペン回しCVとしての基本的な演出技法をしっかり抑えた上で、実写映像×CVというコンセプトを実現するに至っており、fukrouさんの努力の凄さを実感する。アドバイザーがどれだけいても、自分ならあの細かくて面倒で非常に多い作業量に、途中で音を上げてしまうだろう。

 編集の基礎はだいぶ身についただろうから、これからもCVを作っていって欲しいところだが、毎回高クオリティでなくとも、『愉快な仲間たち』シリーズとか、親指シリーズとかのノリでいい。むしろそのノリのCVが見たい、と思った次第。

 

お疲れ様でした。

 

2022年7月20日17:14 脚注を追加

2022年7月20日17:18 脚注を若干修正

*1:IN THE DUSK 感想 - 新 クドウのアトリエ

*2:ちなみに風景×FSは確かvampireさんがやり始めたと記憶している。